自己嫌悪の罠から抜け出す3つのポイント
「自分が情けなくって嫌になってしまいました」
カウンセリングを受けにいらっしゃる女性に多いご相談内容です。
今回は、実際にお受けしたご相談をもとに、「自分が嫌になる落とし穴」とその影響、そんな落とし穴にはまった時の対処法についてお話しましょう。
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「自己嫌悪」と、その罠
自己嫌悪という言葉、何度となく口にし、耳にした言葉かもしれません。
自分の中にある「一部分」について、「どうしていつもこうなんだろう」とか、「もう嫌だなぁ~」と感じてしまうことを自己嫌悪と呼びます。何かあるたびに、自己嫌悪に陥る、という人もいらっしゃるでしょう。
ただ、この「自己嫌悪」には、大きな罠がしかけてあるということ、ご存知でしたか?
実は、この自己嫌悪が生まれた時、私たちは「嫌だなぁ」と感じるだけでなく、同時に自分自身を攻撃してしまいがちなのです。
例えば、「どうしていつもこうなんだろう」と感じたあと、「あぁ、もう、私って何度も同じことばっかり・・・成長のないやつ、最低じゃん!」と心の中で自分自身を責めてしまったことはありませんか?
例えば、「こういうことをするのは嫌だから、もうしないって決めたのに、またやっちゃった。もう嫌だなぁ~」と感じたあと、「はぁ、情けない。ほんとに情けないやつ、私って。なんでこんなに根性なしなのよ!」と、自分自身に腹を立ててしまった経験はありませんか?
とある出来事に対して、「自己嫌悪」した時、そんな自分に「落ち込んだり、腹がたったり」します。
次には、そうした自分にまた「自己嫌悪」し、「自分を攻撃」するという負のスパイラルにはまってしまいがち。
これが自己嫌悪の怖さです。
ご相談をお聞きしていて思うのですが、「自己嫌悪」から「自己攻撃」になりがちな人は、そうすることが自分の役に立っていると考えているようです。
自分を認めることは、甘えにつながる。
それよりも、逆に、自分を否定することで、自分が強くなる。そうすることで自分が完璧に向かっていく。
そんな風に考えている人は、この「自己嫌悪の罠」にはまりやすいかもしれません。
「自己嫌悪」は、繰り返す度に、「あぁ、私って嫌なやつ」という固定観念に変わっていき、自分のことを嫌いになってしまうという罠をしかけてくるのです。
「自己嫌悪の罠」 他人のことも嫌いになる?
この「自己嫌悪」の怖さは、「自分のことが嫌いになる」だけでは済まないところにあるでしょう。
実は、あまりにも自己嫌悪が強すぎる場合、その感情は、他人とのコミュニケーションにも悪影響を及ぼすと言われています。
自分の中にみつけてしまった「嫌な部分」。
すごく、すごく嫌でたまらない自分自身の一部分とよく似た「性格」「癖」を持った人に出会ったとしたら、どうでしょう。
・・・何となく嫌悪感を抱いてしまいそうですよね。
何かあったわけでもないのに、何となく苦手。それは、「同じ匂い」を嗅ぎ分けているのかもしれません。
また、こんなパターンもあります。
「私、こんなに嫌なやつなのよ。そんな私を本気で好きになったりするわけないじゃない」と、彼の愛情を疑ったり、友情を信じられなくなったり。
まるで目の前にいる全ての人が、自分を「嫌っている」かのように感じてしまいます。
彼や友人の気持ちを疑うだけでなく、「私はきっと嫌われている」と思いこんでしまうのです。
思い当たる人は、「自己嫌悪の罠」にはまっているのかもしれません。
「自己嫌悪した瞬間」にヒントがある
「自己嫌悪」というものは、自分の中の一部分を、「嫌だなぁ」と感じ、自己攻撃することでしたね。
もし、あなたが「自己嫌悪」を抱いているのであれば、それをノートに書き出してみましょう。最初はすぐに思いつくものを数個書いてみるといいですね。実はそこに、自己嫌悪を解消するヒントがあるのです。
例えば、
1:○月までに服の整理をしようと思ったのに、全く進んでいないじゃない。
2:仕事も子育てもやってるママだっているのに、専業の私、何やってんだろう。
3:新人のあの子は仕事がはやいのに、先輩の私の方がのろまで仕事ができないとか何?
4:あの子は美人でスタイルもいいのに、私はいつになってもダイエット成功してないし。
こんな感じでしょうか。
いくつか箇条書きにできたら、それを分けていきます。
上の例で説明すると、
1や2・・・「完璧主義」を求める性格の人に多い自己嫌悪です。
よく言えば、向上心があって理想像や目的があるタイプ。ただ、そのぶん「できていない」ことに対して、自分自身を強く責めてしまいます。理想は理想。そんなに簡単に手に入ってしまったら、理想ではないですよね。
3や4・・・これはそのものズバリ、意味のない比較です。
同じスタートラインに立って比較するならいいのですが、自己嫌悪につながる比較の場合は、相手の「できていること(得意なこと)」と、自分の「できていないこと(苦手なこと)」を比較してしまいます。それは、そもそも勝てっこない勝負に挑んでいるようなもの。
その上、「あぁ、私はやっぱりダメだ」と、負け犬のレッテルを貼ってしまうことにもつながります。
こうした他人との比較はすっぱりやめてしまいましょう。
自己嫌悪の罠から抜け出すために 3つのポイント
『もう自分を責めたりしない!』
まずは、自分を大切にすることをモットーにしましょう。
これが1つ目のポイントです。
理想を持つことも、成長に向けて努力することも、結果としては自分を大切にしたいからですよね。
ただ、その方向性がちょっと違っていたのかもしれないのです。
その上で残り2つのポイントをお伝えします。
●完璧ではない自分も自分
「完璧」を目指すことは、とても素晴らしいことです。
ただ、そこには大きなエネルギーが必要なはず。だからこそ、できなかった時のショックや無力感も大きいのでしょう。
人間、何でも完璧にこなすのは無理な話です。完璧に見えている人には、きっとサポートしてくれる人がいるはず。
私たちも同じです。一人で何でもやってしまおうと思わず、周囲の人に「ヘルプ!」と手をあげる。「一人で完璧にしなくってもいいんだよね」と、少しだけ心に余裕を持たせてみませんか。
完璧じゃなくても、助けを求めるのも、恥ずかしいことではないんです。
●劣等感は、相手を見る目があるってこと
自己嫌悪に陥っている時、自己評価はとても低くなっていますね。
そんな時、ついつい「相手のいいところ」と「自分の悪いところ」を比較してしまいがちです。
ですが、視点を変えればこうなります。
あなたは、「他人のいいところ」を探し出すスペシャリスト、というわけです。
今までは、その才能を活かすことなく、自分の心の引き出しにそっとしまって置くタイプだったのですね。しかも、自分の嫌な部分が見えた時、なぜだかその引き出しから他人の長所を引っ張り出して比較するという不思議な行為に及んでいました。
その流れを断ち切るために、「あの人のここ、いいな!」と感じたら、素直に言葉や態度にしめしてみること。
これができると、あなたの心の引き出しが軽くなります。
「Aさんって、明るくって気持ちがいいよね」
「Aさんの優しいところ、好きだなぁ」
そう言われると、Aさんも気持ちがいいですね。
あなたの一言が、Aさんにとって「喜び」につながったとしたら、どうですか?
「自己嫌悪」で埋まりつつあった心が軽くなりますし、Aさんとの関係もよくなっていきそうな予感がしますね。
私のいいところリスト
ここまでくると、次に頭に浮かぶのは、「私にいいところってあるのかな?」ということですね。
自己嫌悪している時、なかなか自分の良さに気がつかないだろうと思います。
友人に、「そんなに落ち込まないで。あなただっていいところ沢山あるじゃない」
そんな風に慰めの言葉をかけてもらっても、心を開くことができないものですね。
だからこそ、カウンセリングを受けにいらっしゃる方には、「私にはこんなことができますリスト」を作っていただきます。
何かが起こって自己嫌悪に陥った時に助けてくれる強い味方になるからです。
「今は落ち込んでいて考えられないけど、でも、私にはこんな一面もあるんだ」
気持ちが落ちてしまった時、誰よりも強い味方になってくれるのは、あなた自身の言葉です。
「私には、こんな素敵なところがある」
そのリストが背中をそっと押してくれるでしょう。
「自己嫌悪」
自分のことが嫌になってしまう落とし穴にはまってしまわないように。
どうぞ、皆さん、自分自身を責めずに、許してあげましょうね。