「人見知り」のあなたのためのコミュニケーションスキル
人前ではいつもの自分を隠してしまいがち。
本当の自分はもっとくだけた感じもあるのに、初対面の人の前では緊張してうまく話せない。
何か質問されても、どう答えていいのかわからないし、そもそも何を話せばいいのか、そこすらわからない。
いつも頭の中で「どうしよう、どうしよう」と考えながら相手の話を聞いているので、楽しくないし、正直しんどくなってしまう。
そんな自分の性格を、周囲の人はどう感じているのか、そこが不安。
いわゆる、「人見知り」と呼ばれる性格には、こうした特徴があります。
人と接する時、フラットな自分をさらけ出せればラクなのですが、いきなりそうはいきませんね。
会話のタイミングを逃したり、自分がどう見られているかが気になって会話に集中できない。
今回は、「人見知りのあなた」のためのコミュニケーションスキルについてお話してまいります。
人見知りは悪くない!
まず、大前提、人見知りは悪くないのです。
子供の頃、知らない人に出会って、「可愛いね」と頭を撫でられたりする度に、モジモジして肩を竦める。
抱っこなんてされようものなら、大声で泣いた。
しまいには、知らない人に出会うとママの足にしがみついて離れなくなってしまう。
そんな経験、記憶にありませんか?
そもそもなぜそうなるのか。
動物は、自身の命を守るため、知らない物体に対して警戒心を持ちます。
ですから、子供の頃に「見知らぬ人」に警戒心を抱いたり、拒絶したりすることは当然の行為なのです。
つまり、それ自体は、誰もが持っている防衛本能の一つ。
そう考えれば、落ち込む必要もありません。
思うほど、人見知りは悪くない、ということです。
人見知りにありがちな失敗
ただ、警戒心が強いまま大人になってしまった場合はどうでしょう。
周囲と比較して「私は人見知りだ」と意識してしまう場面に多く遭遇するかもしれません。
大人になれば、幅広いコミュニケーションの場があるからです。
例えば、学校の先生や友人、バイト先の先輩。会社の上司や同僚。得意先の営業担当の人。または、好意を抱いた異性。そして、ママ友。
色々な場で、会話が途切れることなく楽しげに話をしている人を目にして、そのコミュニケーションスキルを羨ましいと感じることもあったでしょう。
一方、なかなかその輪の中に入れない自分がいたらどうでしょうか。
その度、「私ってダメだな」「私のこの性格、どうにかならないかな」と、自分自身に「ダメダメ」なレッテルを貼ってしまうのです。
けれども、冷静になって観察すると、「あれ?」と感じることがあります。
テンポよく交わされている会話の内容に耳を澄ませば、互いに言いたいことを言い合っているだけであったり。
一人の人が中心になって、ずっと話をしており、よくよく見れば、周囲の人たちは愛想笑いを浮かべて頷いているだけ。
そう。
実は、初対面の人にとるコミュニケーションの方法で、よくありがちな失敗例がこの2つ。
●喋りまくって積極的な自分をアピールする
●愛想笑いでとにかくやり過ごす
何となく、その場をうまく乗り切ったようにも見えるこの2つの方法。
実はどちらも大きな間違いがあるのです。
「上手な聞き手になる」こと
何度も言いますが、「人見知り」が悪いのではありません。
初対面でフラットな自分をさらけ出して、天然ね、と可愛がられるのは一部の人だけ。
それよりも、問題は、「人見知りな人のとるコミュニケーション」にあると言えるでしょう。
先ほどあげた2つの特徴を思い出してください。
あなたは、初対面の人との会話で、とにかく喋りまくったり、愛想笑いでやり過ごしたりしていませんか?
一方的に話し続ける人は、会話の主導権を握って、自分の苦手な話題を避けようとしているのかもしれません。
愛想笑いでやり過ごす時は、目に見えないバリアを張ってそれ以上踏み込まれるのを阻止しているのかもしれませんね。
どちらにしても、相手に心を閉ざしていることに変わりありません。
コミニュケーションとは、お互いが意思や感情を、言葉や文字、その他の身振りや表情、声などで表現することだと言われます。
『お互いが』なのです。
どちらか片方が一方的に表現することではないのですね。
その中で、相手に与える印象の強さを調査したところ、下記の結果が報告されています。
「表情(視覚情報)が55%」
「音声(聴覚情報)38%」
「言語(言語情報)7%」
(Mehrabian,1971)
つまり、どんなに好意的で楽しげな会話をしていたとしても、実のところ、会話そのものよりも、その時の雰囲気や表情、声。
そうしたものの方が強く印象に残るのですね。
言い換えれば、『どんな話をしているか』ということよりも、『どんな雰囲気で話しているか』がポイントなのです。
とすれば、「人見知り」のあなたの場合、話すことが見つからないのであれば、話題を探すために頭を悩ますのはやめてしまいましょう。
それよりも、上手な聞き手になればいいのです。
だって、考えてみてください。
必死で交わした会話そのものよりも、その時のあなたの声や表情という「あなた自身の印象」の方が強く残るのであれば、無理に話し手側にまわらずとも、いい聞き手になる。
話している人のその話の内容を、しっかり聞いていますよ、という態度を示す。
それは、相手にとって、とても心地のいいものになるでしょう。
『上手な聞き手になる』
これは、「人見知りなあなた」だからこそできる、素敵なコミニュケーションのあり方なのです。