フランス人は10着しか服を持たないの本から学ぶこと

ライフスタイル

Jennifer L. Scott(ジェニファー・L・スコット)氏のベストセラー『フランス人は10着しか服を持たない』は、同氏が、フランス留学時に「服を10着しか持たない」という文化に衝撃を受けで書かれた示唆に富んだベストセラーです。

 

それは、たくさん消費して多くの物を所有するという私達の消費生活の当たり前の価値観と対極にあるものです。それは「上質なものを少しだけ持つ」という価値観です。けれど、この価値観は、私達の物を持つゆえの煩わしさと悩みの心情に当てはまらないでしょうか。ありすぎる服なのに、何か合わない、着るものがない、それゆえ、また買い足す。知らない内に、クローゼットは洋服でパンパンに膨れ、せっかくハンガーに吊るしておいたのにくしゃくしゃ。それでまたアイロンを当てなければならず溜息。つまりは、幸せのために所有した服が、頭痛の種を作り出している…そんなスパイラルに陥ってしまっているというのは、何と皮肉なことでしょう。もし、少しでも、思い当たることはあったら、この際、ジェニファーさんの体験を、あなたのワードロープ計画にも取り入れて再考してみる機会にしてみませんか。

【photo by macaro-ni.jp】

 

1.ジェニファー・L・スコット氏が語る文化論

このジェニファー・L・スコット氏の本は、パリ留学生の時フランスの家族と住んでいた時に学んだ、出来事が書かれています。

 

そこには、片付けの方法から、運動、フォーマルな場においてどのように生きていくかなどが書かれているのですが、ここでは「10着だけのタンスで自分を解放しよう」という項目に焦点をあていきたいと思います。「10着だけのタンス」と聞いて、どうでしょう。「そんなで足りるわけがない。」と思われる方が多いと思います。でも、心のどこかで、それだけの服しか所有していなかったら、片付けが楽だろうとそれなりに興味を惹かれるのではないでしょうか。ジェニファーさんは、ここで、文化論の違いを述べているのです。


2.服をたくさん持ってるのに着るものがない

「服をたくさん持ってるのに、着るものがない」これは、妙な感覚ですね。そんな訳ないと思われませんか。でも、事実そうなのです。ジェニファーさんは講演録のなかで、こう説明しています。引用しますと、同氏のアメリカ文化では「服でパンパンになったクローゼットを持つこと」に慣れた文化だということです。私たちは買い物に買い物を重ねて、クローゼットに詰めて詰めて、ほとんどタンスの中がどうなっているのか確認すらしません。中に入っているものの取捨選択をして、持っている物が、私たちにどんな影響をもたらしているのかを、確かめないのです。」と語っています。さらに続けて「服がたくさんありすぎると『もう着るものがない』という副作用が現れます。(笑)この中で、何人それを体験したことがありますか?」と語っています。

確かにそうで、筆者の場合は、とにかく、好きな色と出会ってしまうと手元に置いておきたくなって、つい購入してしまったものの、いざ着ようと思うとコーディネートが難しく飾ってあるだけという服がたくさんあります。なんとか着たいと思い、それに合う服をと購入しているうちに、どんどん服が溜まってしまうというスパイラルに陥ってしまうのです。よく考えると、好きな色と似合う色は違いますし、若い時に似合っていた色でも、年齢を重ねると全く似合わなくなるということも、多々あるのです。ジェニファーさんは言います。「洋服を10枚に絞ったら、無駄なものは買わなくなった。良い服を選ぶようになった。また、衝動買いをしなくなった。クローゼットの扉を開けるのが楽しくなった。」と語っています。

【photo by vipworks.net】

 

3.ギュウギュウづめのタンスが衝動買いの原因

こうして購入したけれど、何かコーデしにくいとか、合わせにくい服は、どんどん増えます。結局、色目も統一感がなく箪笥に眠る服が多くなり、タンスにつめているうちに、自分が持っている服を管理把握できなくなるというわけです。同氏は言います。「仕事に行く時、友達に会いに行く時、服を着てみて気に入らなくて、他の服を試して、もう1着、あともう1着と知らないうちに、服を床からベッドまでばらまいてしまいます。もっと多くの服を持てば、朝準備にあてる時より楽だという誤解によって、私たちは動かされているのです。でも実際は、その逆こそが正解なんです。より少ない服、より少ない選択肢で、タンスの中身を考えて整理すれば、もっと準備をするのが楽になります。服でギューギュー詰めのタンスのせいで出てくる問題は、タンスの中身を見定めないので、衝動買いをしてしまうようになります。自分に合ったスタイルかも、タンスの中身も考えずに。」実に、然りです。


4.自分らしいスタイルが決定しきれていないことも遠因

こうした遠因には、自分のスタイルがまだ決定切れていないということもあるでしょう。自分のポリシーも、そして、それに従った自分に似合う色とか自分の意識を表現してくれるデザインなども意識しないまま、ほとんどの人は、服を購入します。色彩が心理的ニュアンスを秘めていることも意識せず、何となく好きだからと洋服を選んできたりしていませんでしたか。一言か二言で、自分のスタイルの定義なんかできる女性は、そんなにはいないでしょう。けれど、自分を表現するスタイルや色を見つけないと、パンパンなクローゼットは相変わらずそのまま。そして、あなたはいつも服装選びに苛立っていることになります。さあ! ですから、まず、可能な限り服を絞ってみましょう。今持っている服を色別に分けてみましょう。これも、各人によって状況が異なりますけれど、可能な限り分類します。素材も分けてみます。綿や麻類、ポリエステルやテトロン系など。やはり、同種素材のコーディネートの方がすっきりあわせ易いでしょうから…。


5.10枚枠で通勤コーディネートを考える

この短時間に洗練されたコーデにするには、ちょっとしたコツがあります。できるだけ色目を少なくして、挿し色でアクセントをつけるというテクニックです。これはファッション初心者の方には、現しやすい方法だと思います。先ほどからのテーマ「タンスに10枚の服を持つ」のジェニファーさんの提案に従って、オフィース勤めをしている女性を例にとりましょう。10枚限定ということですから、通勤着として、まずスーツを2枚用意します。それからブラウスは4枚、スカート2枚、パンツ2枚用意します。色は、あなたが好きな色で決めて結構です。ただ、ここにももちょっとしたコーデのヒントがあります。それは、オーソドックスデザインで広範囲に合わせやすいスタンダードタイプが、結局無駄がないということ。その色は淡いグレーとかブルーグレー系、黒か紺、または黒白の市松か千鳥模様にすると挿し色があわせやすくなります。ブラウスは、少し華やかなカラーでそれこそ個性発揮のアイテムとして冒険してもいいでしょう。ただ、イエロー系、茶・黄土色系は合いません。ピンクや赤もオフィースですからどうでしょうか。ブルー、ブルーグレー、ラベンダー、ワインカラーに近い色今年トレンドカラー・マルサラなどもいいですね。また、黒、白、淡いグリーンなどまた、花柄、ポーダーなどの選択もできますね。パンツは一枚黒を入れておくと、何にでもコーデしやすいですし、スカートとブラウスの色を同じにしておくとコーデが楽です。

【photo by weheartit.com】

 

6.具体的に10枚でコーデしてみると…

では、筆者の独断的ファッション企画で進めてみます。

 

用意したものは、○スーツシルバーグレー、○黒白千鳥柄スーツ○スカート色はブルーグレー、トルコブルーの二点、パンツは黒、白の二点、ブラウスは、ブルーグレー、トルコブルー、白、黒を想定してみます。
・スーツシルバーグレー+ブラウスはブルーグレーで一日目

・スーツ黒白の市松セット+ブラウスは黒で2日目

・ブラウス黒+パンツは黒+黒白市松のジャケットで3日目

・ブラウス黒+パンツ黒+シルバーグレーのジャケットで4日目

・ブラウス白+パンツ白+黒色市松のジャケットで5日目

・ブラウスブルーグレー+ブルーグレースカート+シルバーグレ ージャケットで6日目

・ブルーグレー+ブルーグレースカート+黒白の千鳥柄ジャケッ トで7日目

・ブラウス白+パンツ白+シルバーグレーのジャケットで8日目

・ブラウスブルーグレー+ブルーグレースカート+白黒市松ジャ ケットで9日目

・ブラウストルコブルー+ブルーグレースカート+シルバーグレ ーのジャケットで10日目

・ブラウストルコブルー+トルコブルースカート+シルバーグレ ーのジャケットで11日目

・ブラウスは白+スーツシルバーグレー12日目

・ブラウス黒+スーツシルバーグレー13日目

・ブラウストルコブルー+シルバーグレースーツで14日目

・ブラウスは白+スーツシルバーグレー15日目

・ブラウスは白+スーツ千鳥模様セット16日目

・ブラウストルコブルー+スーツ黒白の千鳥模様セット17日目

・ブラウスブルーグレー+スーツ黒白の千鳥模様セット18日目

・ブラウストルコブルー+ブルーグレースカート+千鳥模様ジ ャケットで19日目

・ブラウス白+パンツ白+シルバーグレーのジャケットで20日目

・ブラウス黒+パンツ白+千鳥模様のジャケットで21日目

・ブラウスブルーグレー+ブルーグレースカート+シルバーグレ  ージャケットで22日目

・ブラウストルコブルー+パンツ白+シルバーグレーのジャケッ トで23日目

・ブラウスブルーグレー+トルコブルースカート+シルバーグレ ーのジャケットで24日目

・ブラウスブルーグレー+トルコブルースカート+千鳥模様のジ ャケットで25日目
 
もう少し組み合わせが可能そうですが、コーデを最初から想定して組み合わせると、タンスに入っていた洋服10枚で、何と25日分は着ていけることになるのです。これに挿し色のスカーフやベルトでアクセント付けをすると、一ヶ月のファッションは充分まかなえそうですね。また、帽子を加えれば、もっと上質なコーデが完成します。ここに、今年のトレンドカラー・マルサラを加えてもトレンディですね。マルサラは落ち着いた色ですから、40代50代の方でも充分楽しめるトレンドカラーです。全体に地味すぎる色の選択だなと思われる方は、挿し色を思い切ってカラフルにしましょう。一点くらいは、スカートに換えてトレンドのガウチョパンツにしても今年風になります。なお、たった10枚という想定の企画ですから、飽きが来ない上質な素材の方がいのでしょうが、忙しい現代女性はクリーニングのことまでも考えておいた方がいいでょう。シルクは汗ばめば、一日で処理しないといけませんので、クリーニングに出しても風合いは変わってしまいま汗染みになってしまいますから、通勤着にシルクは、余りお勧めできません。


7.挿し色はトレンドカラーマルサラで…

ところで、「マルサラ」というカラーについてですが、これはパントン色彩研究所が、2015のカラーとして発表した色のことです。明るいブラウンの混じった赤ワイン色という感じです。重厚な色目なので、小物類でに取り入れたせいかがでしょうか。バッグとか、スカーフとか、アクセサリーとか…。夏は「マルサラ」色のネックレスなどで、ポイントに使うのもいいでしょう。夏に色が濃いのは暑苦しそうと思われる方は、淡いマルサラ色を選ぶのもポイント。シフォンやシースルーなど、涼しげな素材も今年は出回っています。他にはベルトとか帽子、またはスニーカーなどで「マルサラ」色を使ってみるのも新鮮ですよ。白との組みあわせ、またシルバーグレー。ブルーグレーなどとの色の相性も洗練しています。口紅やネールエナメルを「マルサラ」カラーで合わせるようにすると、一段とレベルアップのコーデが楽しめそうです。


終わりに

『フランス人は10着しか服を持たない』というテーマから、少ないアイテムでコーデまで考えてみました。いかがだったでしょうか。よくフランスの女性は若い時からブランド品は持たず、いろいろ工夫をしてファッショナブルに洋服を着こなすと言われてますね。おそらく、若いなりに、きちんと自分の価値観を持っているのでしょう。あなたの価値観はあなた自身が決めるもの…それは、誰からも強要されるものではありません。フランス女性のクローゼット内部の余白のスペースは、自由が詰まっているのかもしれません。洋服をマネージするのはあなたであって、洋服に占拠されるものではないはず…今すぐ10枚にするのは、とても無理とおっしゃる人は、出来る限りでいいのです。持たない身軽さ、自由さを意識して欲しいだけなのです。『フランス人は10着しか服を持たない』という本は、価値観のヒントを私達に教えてくれているのかもしれません。


【photo by weheartit.com】

あなたが綺麗になるためのサロン探し

関連する記事

人気の記事